
【CMI】先進ものづくりシステム連携研究センター
-
(5) ジェンダー平等を実現しよう
-
(7) エネルギーをみんなに そしてクリーンに
-
(9) 産業と技術革新の基盤をつくろう
研究室概要
航空機には高い安全性と、優れた経済性の両立が求められます。そのために、高強度軽量材料である炭素繊維複合材やチタン材、高力アルミ材の採用が急速に 進んでいます。
産学官の連携により、複合材加工技術、難加工材の切削技術、高速切削技術、等を革新的に進歩させることで、航空機製造技術の高度化を目指します。
航空機製造技術
先進ものづくりシステム連携研究センターCMI(Consortium for Manufacturing Innovation)は2013年4月に発足しました。
航空機には高い安全性と、優れた経済性の両立が求められます。そのために、高強度軽量材料である炭素繊維複合材やチタン材、高力アルミ材の採用が急速に 進んでいます。
産学官の連携により、複合材加工技術、難加工材の切削技術、高速切削技術、等を革新的に進歩させることで、航空機製造技術の高度化を目指します。
お問い合わせ cmi-ml@iis.u-tokyo.ac.jp
CMIの研究概要 センター長 臼杵年
CMIの活動について 特任教授 橋本彰
高難易度部材加工プログラムのアルゴリズム提案 土屋研究室
残留応力データの収集と残留応力低減法の開発 柳本研究室・臼杵研究室
ロボット切削 臼杵研究室
メタルデポジション 岡部(洋)研究室 (2021年終了テーマ)
シーリングの自動化 土屋研究室・馬渡研究室(2021年終了テーマ)
カメラ駆動システムを用いた3次元位置計測の基礎検討 山川研究室
CMIの研究概要について 教授・センター長 臼杵 年
CMIの活動について(特任教授 橋本 彰)
高難易度部材加工プログラムのアルゴリズム提案 土屋研究室

目的 加工の難度判定要素を抽出し、最適加工条件選定手法を確立
航空機製造は、ローコストオペレーションとして工程自動化と労働人口減少への代替化技術が日本のモノづくり力として求められている。
従来、エキスパートシステムなど熟練作業者の技能の取り込みや過去のデータベース化で最適切削条件等を見出すなどの取り組みがあるが実績を超えるような成果を得られず、製造現場では未だに最適化の切削条件の決定には熟練者の経験に頼っている。そのため切削難度判定に関する要素を抽出し、最適切削条件選定する手法の確立を目指す。

内容 マシニングセンタでの切削実験
- 切削距離と切削現象の変化に伴う要因を推定
- 外乱を除いた切削方法による実験
- 刃先変化(摩耗、凝着)
- 切削抵抗
- 切削温度
- 切屑形状
- 表面テクスチャー

工具刃先変化測定
ALICONAを用いた工具刃先の観察と高深度顕微鏡(SEM)による観察

【ALICONAによる観察】

通常のマシニングセンタでアルミ合金を切削加工した場合、工具刃先には僅かな凝着が発生
成果 切削距離が変化すると刃先での凝着が増え、残留応力が変化


今後の課題
工具刃先を意図的に変化させて、切削現象と切削品質の関係を調査する。そこから最適な切削条件を構築する。
残留応力データの収集と残留応力低減法の開発 柳本研究室・臼杵研究室
東京大学 柳本研究室・臼杵研究室

目的 残留応力シミュレーション手法の開発
切削加工に起因する残留応力や歪みは、加工条件の選定を複雑にし、加工後に手戻り作業を要する原因となる。この残留応力や歪みを予測、制御するために、残留応力メカニズムの解明と、残留応力シミュレーション手法の開発を実施する。

内容 3次元の残留応力分布を予測可能な残留応力シミュレーション手法を開発
これまでの研究で開発した2次元切削残留応力解析モデルを基に、加工前の応力分布を導入した3次元切削残留応力解析モデルへと拡張する。

残留応力データを収集し、残留応力メカニズムを解明
アルミニウム合金圧延材の切削加工について、加工前後の残留応力分布データを収集し、ミクロ組織を観察することで残留応力発生メカニズムを明らかにする。


成果
2次元切削解析モデルに加工前の材料の初期応力分布を再現し、フェイスミル加工における仕上げ面生成メカニズムを再現した多工程解析を行うことで、高い解析精度が得られた。

今後の課題 最適な加工プログラムを生成する自動化システムを構築
残留応力データ収集・シミュレーション手法開発と「高難度部材加工プログラムのアルゴリズム提案」を合わせて、最適な加工プログラムを生成する自動化システムを構築する。
ロボット切削 臼杵研究室
東京大学 臼杵研究室

目的 多関節ロボットアームを用いた加工の研究
航空機は,軽く強く作るために大きくて薄い部品が多く使われています。普通の工作機械で加工しようとすると機械がとても大きくなってしまうので、安価な割に大きく動けるロボットアームを使って部品の加工ができるようにするための研究です。
まずはポケット加工という、部品の一部を薄くする工程で利用できるよう目指しています。


研究内容
ロボットは通常の加工機械と比べるとあちこちに関節があることや元々の強度が影響して、そのままだと動作の精度が出ません。レーザーを使ってロボットの先端位置を測定して、それをもとにロボットの動作を修正し、より思い通りの動作をさせるための制御方法を開発しています。



成果 測定と補正による位置精度の向上

既存のエッチング(ケミカルミリング)の代替としてロボット切削の有効性を提案している
今後の課題
事前に測定したデータをもとに動作を修正する方法のほか,動作しながら測定して反映する手法に取り組みます

メタルデポジション 岡部(洋)研究室 (2021年終了テーマ)

目的 高機能な治具を短納期・低コストで製造する
金属積層造形+機械加工を同一の機械で行うことで複雑形状の高精度・高能率加工を実現しコスト削減を図る。


1.複雑形状治具の製造のための造形自由度の拡大

2.造形品質の微視的分析と材料特性の評価
SEM(走査型電子顕微鏡)やEDS(エネルギー分散形X線分光器)により、積層体の微視的な観察と組織分析を行う。

3.数値解析による高精度造形の実現
造形物のゆがみを予測し、事前対策することで、低コストで高精度な造形を可能とする。

成果 傾斜角と捩れ角の造形を行ない、 それらの成形可能条件をまとめた

- 積層造形物のミクロ分析を行った結果、内部欠陥が見られた。
- 3パターンの熱処理実験を行い、内部欠陥を減少できる最適な熱処理条件を得た。

SimuFactを用いて積層造形物の変形予測解析を行い、解析精度を明らかにした。また、解析精度向上のために熱源パラメータを最適化した。


今後の課題
微視的分析に基づいて、傾斜と捩れの複合角での最適成形条件を明確にする。さらに、数値解析との合わせ込みを行ない、複合角を持つデモ金型を作製する。
シーリングの自動化 土屋研究室・馬渡研究室(2021年終了テーマ)
東京大学 土屋研究室・馬渡研究室

目的 シーリングの手作業工程の自動化による高速化と省力化および品質の安定化
Purpose
Speeding up and labor saving by automating the handling process of sealing and Stabilizing quality
Sealing is a highly-skilled handwork process, and it takes a long time for labors to master the technique. The process is automated by a robot for speeding up, labor saving and quality stabilization.


内容 Contents
熟練者の手作業をモーションキャプチャーでデータ化し、解析・評価・最適化し、ロボットの運動に反映
Move hands’ motion of experts into data using motion capture. Analysis, evaluation and optimization, reflected in the movement of the robot.


ロボットに特化したシーリングガンの開発
Development of sealing gun specialized for robot

By developing the robot sealing system, the flow rate of sealant has become much more stable than that of conventional sealing guns. The start and end of discharge can be precisely controlled by a robot.
シーリング形態の異なる、複数種類の部材において 自動化を達成
In a plurality of types of members having different sealing forms Achieve automation.
成果 Achievements
ロボットによる、作業時間短縮および品質向上
Reduction of working time, improvement of quality by application of robot.
超高粘度液のスプレー塗工






今後の課題 Future tasks
更に多くの種類の部材に対して、シーリング作業の自動化を目指す
切削工具コンペ(複合材用工具ベンチマーク)土屋研究室
東京大学 土屋研究室

目的 過去の切削試験の知見に基づき試験を行い、切削工具の特性を評価する
複合材用切削工具は、毎年各社から多くの新工具がリリースされている。ユーザーは、それら工具を用い個別の切削試験を実施し評価している。そのため、各種切削工具について切削実験を行い、その特性を評価する。

内容 アリコナによる試験用切削工具の観察



成果 切削試験による工具特性評価
評価内容
加工前後の工具を評価(幾何形状測定、観察)
加工結果の評価(切削抵抗、切削温度、など)

今後の課題 工具刃先形状評価方法を確立し、工具特性を評価する
カメラ駆動システムを用いた3次元位置計測の基礎検討 山川研究室
東京大学 山川研究室

目的 高速3次元位置計測を用いた産業用ロボットの手先位置精度の向上
ロボット先端の絶対位置を制御するためには,ロボット先端の絶対位置(3次元)を計測する必要がある.レーザートラッカーによる3次元絶対位置計測は行われているが,より安価な計測システム構築のため,カメラを用いた計測を目標とする.

内容 実験システムの構築

カメラ駆動システムを用いて,1 kHzで3次元位置を計測して,ロボットにフィードバック
成果 提案システムの3次元位置計測精度評価
治具の頂点に取り付けたマーカの3次元位置を計測して,マーカ間の相対距離を治具の設計値と比較.
0.1~1mmオーダの計測誤差

今後の課題
数十μmオーダの3次元位置計測精度を達成するカメラ駆動システムのキャリブレーション手法を構築する.
先進ものづくりシステム連携研究センター